クローン病や潰瘍性大腸炎がIBD(炎症性腸疾患)というくくりで呼称されているのは、患者・医療関係者とごくごく一部の方くらいかと思います。

先日、ALSに関する記事をアップしましたように、それほど難病及び一部の病気の認知度はとても低いもの。それゆえあのような運動が広がって行くことはとても良いことだと思います。

私がクローン病と診断される数年前、血便が続いたこともあり、近隣では一番大きな病院で血液検査と内視鏡検査をしました。患者の私が見ても明らかに腸が炎症を起こしていたのですが、その時の担当医はサラゾピリンという薬を処方し、 「コレステロール値も低いし、もうちょっと脂質のあるものを食べるようにしてください」という話を私にしました。

しかし、脂質はIBD患者にとって避けるべき成分の一つ。その後私の体調が悪化したのは言うまでもありません。 さらにサラゾピリンは副作用が強く、少なくとも私の周りを見回しても服用している人が皆無な薬。後になってわかったことですが、本来は副作用の少ないペンタサが主流となっているので、サラゾピリンの処方は間違いではないにしても、適切だったかというと疑問が残ります。

おそらく、その医師はクローン病という病気のことを詳しく知らなかったのだと思います。そういったこともあり、私がクローン病と診断されるまで十数年かかりました。

その後、私の知人で消化器専門医をしている方とお話しをした時のこと。その知人はクローン病という病気をご存知なかったのには驚きました。厚生労働省指定の難病のうち、消化器系のものは比較的少ないのですが、それをご存知ない医師もいることを知ったのです。

世間ではあまり知られていない難病や、難病ではないにしても珍しい病気は数百にも上るでしょう。医師ですらその名前をしらないケースも珍しくないのですから、素人の私たちにとってはもっともなことです。

今一大ムーブメントとなっている「ALSアイスバケツチャレンジ」は、「世の中にはこういった難病もあるんだよ」ということを多くの人々に知ってもらう良い機会となりました。批判をする方もいらっしゃいますが、どうか寛大な視点で見て頂ければとお願いしたい次第です。